2022.06.01
健康寿命の重要性④
こんにちは。
西新の歯医者 松尾です。
*前回のブログ
のつづきです。
要介護高齢者の最大の課題
摂食(せっしょく)・咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)障害にどう取り組むかが問われます。
・特養老人ホーム
・老人保健施設
・老人病院
・療養型病床群
における入所者・入院患者の意識実態調査(加藤順吉郎 1995)によると、
「施設内で楽しいこと」
の第一位はいずれも「食事」となっています。
摂食・嚥下障害とは
「摂食・嚥下の5期」の5つの段階のうち、どこかの段階で障害されることを、摂食嚥下障害といいます。
摂食嚥下は、食べ物を認識してから、口を経由して胃の中へ送り込む、一連の動作のことです。
それらの一連の動作を5段階に分けて考えられることから「摂食嚥下の5期」と呼ばれています。
先行期:食べ物を認知して、口にいれる作業
準備期:その食べ物を口から入れ、咀嚼(そしゃく)する
口腔期:舌や頬を使い、食べ物を口の奥からのどへ送る
咽頭期:脳にある嚥下中枢からの指令で、食べ物を食道へ送る
食道期:食べ物を胃へ送り込む
(参考サイト:健康長寿ネット)
食事に関係する4大認知症
大きく分けて4つあります。
そして
その4つが食べる事・しゃべる事に関係するため、歯科との関わりが深くなります。
それぞれ症状や対応の仕方に特徴がありますので、ご家族の方や介助・介護をされる方には知っておいて頂きたい、4大認知症になります。
① アルツハイマー型認知症
物忘れや生活上の失敗が潜在性に進行、物盗られ妄想、徘徊
② 脳血管性認知症
小さな脳梗塞が多発して、意欲の低下や戸惑いが目立つ認知症・仮性球麻痺(嚥下困難、構音障害、咀嚼障害などを生じる)
③ レビー小体型認知症
パーキンソン症状と似た運動障害(嚥下障害含む)や幻覚が見られる
④ 前頭側頭型認知症(ピック病)
状況に合わせて自分の行動をコントロールできない(人格異常、行動異常)
「先行期」における4大認知症の特徴
① アルツハイマー型認知症
1)食事を始めない、中断する
2)食器の使い方がわからない
3)食器、机の模様に気を取られて食べられない
4)他人の食事を食べる
5)異食(食べ物じゃないものを口に入れる)
6)嗅覚の障害
7)食欲の低下
この型の最大の特徴として
食事の最初や途中でボーっとする事があるので、介助する方は「声かけ」をしましょう。
② 脳血管性認知症
1)麻痺により口への取り込みが困難
2)認知機能は保たれていることが多い
2)は特に注意です。
例えば
本人の近くで、周りの介助する方や医療従事者などが「あの人認知症だからね」などと言うと、本人はそれを理解できるため、
「自分のことは自分でする!」
というような「介護拒否や介護抵抗」などに発展することがあります。
くれぐれも不必要な発言にはご注意ください。
③ レビー小体型認知症
1)食べこぼし
2)姿勢の傾き
3)嗅覚の障害
4)食欲の低下
5)食欲の変動
6)薬による食事量の激減
身体が傾いている場合は、レビー小体型の可能性が高くなります。
④ 前頭側頭型認知症(ピック病)
1)偏食
2)大食
3)大量飲酒
4)介助者に反発
5)常同行動(同じ行動を繰り返す)
6)薬による食事量の激減
介助者に反発とは、歯科で言えば指にかみついてきたりなど、に注意しましょう。
⑤へつづきます。