更年期障害(こうねんきしょうがい)

こんにちは。

 

早良区西新の歯医者 松尾です。

 

 

 

今日は更年期障害

(こうねんきしょうがい)についての話です。

 

更年期障害とは?

 

 

「更年期(45~55歳)に現れる多種多様の症候群で、器質的(きしつてき)変化に相応(起因)しない、自律神経失調症を中心とした、不定愁訴(ふていしゅうそ)を主訴とする症候群」と日本産婦人科学会が定義してます。

 

何やら小難しい表現ですが、要するに

 

「見た目に異常はないし、原因がはっきりわからないけれど、なんとなく体調が悪い」

 

といった状態ですね。

 

 

加えて

世間では更年期障害は「女性に多い」不調と思われがちですが

男性にも起こる不調なので、思い当たる方は本記事を参考にしてもらえると幸いです。

 

 

主な不定愁訴

(ふていしゅうそ)

 

 

・ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)

・冷え

・めまい、耳鳴り

・肩こり、頭痛

・全身倦怠感(だるい)

・皮ふのかゆみ

・手足のしびれ

・尿失禁

・不眠

・胃腸不良

・気持が落ち込む

・情緒不安定

・気力の低下、憂鬱

 

 

本記事では

数ある不定愁訴の中でも改善困難である

「ホットフラッシュ」の改善例を紹介したいと思います。

 

 

更年期障害の原因

 

 

① 卵巣機能の低下

(*エストロゲンの低下)

 

② 社会的・文化的な環境因子

 

③ 性格構造に基づく心理的要因

 

 

① 卵巣機能の低下

(エストロゲンの低下)

 

 

*エストロゲン(卵胞ホルモン)

 

女性ホルモンの一つで

 

・卵胞の発育促進

・乳腺の発達促進

・女性の第2次性徴発言

・骨吸収抑制(骨が溶けるのを防ぐ)

・血中コレステロール排泄

 

などの作用があります。

 

 

最後の2つの作用が低下する事により

更年期障害を迎えた人は骨が溶けやすくなる

 

・骨粗しょう症(こつそしょうしょう)

 

 

コレステロール排泄能が低下する

 

・高脂血症(こうしけっしょう)

 

になる割合が増加しています。

 

 

 

エストロゲンの低下のメカニズム

 

ホルモンの特徴として

 

・直接、血液に分泌される

・特定の器官(標的器官)のみに作用する

微量で*特異的(とくいてき)に作用する

 

*特異的(とくいてき)
特徴的にみられること。

ほかの状態や病気では見られないこと。

 

 

エストロゲン分泌が低下すると、脳の視床下部のフィードバック機構により、中枢からゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)分泌が著しく増加します。

 

この変化は、視床下部の自律神経中枢に影響を及ぼし、様々な自律神経失調症状の原因となります。

 

 

難しい内容ですが、簡単に言うと

 

ホルモンバランスを崩している状態

 

です。

 

一つのホルモンが多すぎても、少なすぎても良くありません。

 

「必要な時に必要な量」が重要で、過不足がないことが望ましいです。

 

 

② 社会的・文化的な環境因子

 

 

更年期は女性を取り巻く環境に様々な変化が起こりやすいライフステージであり、働く女性においては責任ある立場や地位につくため、仕事の量やストレスが増加します。

 

このような状況が、変化に対する適応能力の低い女性や、依存性の強い女性にとっては大きなストレスとなり、精神症状や不定愁訴(ふていしゅうそ)を引き起こします。

 

 

③ 性格構造による心理的要因

 

 

「*神経症傾向

(しんけいしょうけいこう)」が高い人ほど、更年期障害による影響を強く受ける可能性があります。

 

 

*神経症傾向(しんけいしょうけいこう)とは

 

環境からの刺激やストレスを引き起こす刺激に対する敏感さ、不安や緊張の強さをスコアで評価したものです。

 

要するに

その傾向が高い人ほど、外の情報に対して

心が揺れやすいと言えます。

 

神経症傾向が高い=「情緒安定性が低い」とも言い換える事ができます。

 

 

実際の治療

 

患者Aさん 40代女性

 

既往歴:ホルモン療法を始めたことでホットフラッシュが始まり、起床時に汗だくになっているとの事です。

 

 

少し専門的な内容になりますが

 

友人からの情報によると

香港での論文では、漢方薬の

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を服用して、左右の三陰交(さんいんこう)というツボ低周波電気パルスを1Hz/15分の通電で、ホットフラッシュが改善したとの報告があります。

 

 

三陰交は、内くるぶしのてっぺんから指4本分↑のあたりになります。

 

 

 

↓わたしが使用している電気パルス

 

 

 

1回の上記治療で、かなりホットフラッシュが改善したと言われていましたので、同症状で悩まれている方はお気軽にお申し付けください。

 

 

自宅でできる治療

 

 

電気パルスほど治療効果は期待できないかもしれませんが、何事もやってみることが重要です。

 

用意して頂きたいのは

 

① せんねん灸

 

② 漢方薬

 

になります。

 

①せんねん灸は薬局に売ってますので、まずは「レギュラー」をお試しください。

 

 

②漢方薬は内科で処方してもらうか、ネットで購入できます。

 

以下3種類

 

a、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

 

👉 体格・体力中等度の方

 

 

b、加味逍遙散(かみしょうようさん)

 

👉 体力が中等度か、それ以下の虚弱体質の方

 

 

c、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

 

👉  体格がやせ形、体力の低下した体質虚弱な方

 

 

あるので、ご自身の状態に合わせて選んでください。

 

自分ではわからないという方は、専門家に処方してもらいましょう。

 

 

3種類ともに「*禁忌(きんき)」はナシなので、色々な人に使いやすいと言えます。

 

*禁忌(きんき)

病状を悪化させる、深刻な副作用が出現する、薬の効果が弱まるなどの可能性がある事。

 

 

まずは毎日左右の三陰交(さんいんこう)に、せんねん灸を置いて温めましょう。

 

同時に、漢方を2週間程度継続して服用しましょう。

 

ただし

100%安全とは言い切れませんので、服用後に強い副作用が出た場合は服用を中止してください。

 

1ヵ月継続して服用してもまったく変化がない場合は、服用を続けずに医師や薬剤師など漢方に詳しい専門科に相談するのがおすすめです。

 

漢方には多くの種類があるので、体質や悩みに合わせて、適切な漢方を選んでもらいましょう。

 

 

 

上記の患者Aさんも自宅で

「①せんねん灸+②漢方薬」治療を継続していて、ホットフラッシュの症状が軽くなっているとの事でした。

 

 

まとめ

 

 

更年期障害には多種多様な症状がありますが、基本的には「自律神経の乱れ」が根っこにあります。

 

*関連ブログ

 

ストレスによる自律神経の不調

「自律神経失調症」と診断された人は多いのでしょうか?①

「自律神経失調症」と診断された人は多いのでしょうか?②

かんたんセルフケア

 

 

従って

本記事の治療法は「ホットフラッシュ」に限らず、その他の症状にも効果がある可能性があります。

 

更年期障害の原因 ③性格構造による心理的要因の一つに

特に女性は、男性に比べて「*セロトニン」分泌量が少なく、心の安定が乱れやすい特徴があります。

 

*セロトニン

自律神経を整える「神経伝達物質」。

俗称「幸せホルモン」と呼ばれていますが、厳密にはホルモンではなく、脳内物質です。

 

 

なので

まずは食事でセロトニンを増やすことをオススメします。

 

 

■セロトニン合成に必要な栄養素

 

 

・トリプトファン(必須アミノ酸)

 

・ビタミンB6

 

になります。

 

*必須アミノ酸

体内で合成できないアミノ酸

 

 

その栄養素を多く含む食べ物は

 

・豚肉

・大豆など

・ナッツ類

・チーズ

・卵

・バナナ

 

などになります。

 

気分が落ち込んだ時、イライラする時、憂鬱な気分の時など、上記の食べ物を多く食べると良いかもしれません。

 

 

最後に

 

 

セロトニンを増やすには、上記の食べ物も重要ですが

同時に

しっかりと日光を浴びて、腸内環境を整え、適度な運動をすることです。

 

 

*関連ブログ

 

腸内細菌のバランス

 

赤ちゃんの夜泣きも「常在菌」が関係?

 

コロナウイルス対策③バイオチュアブル(乳酸菌)

 

 

人は

 

・早い

・安い

・便利

 

なものを選びがちですが、「サプリ一つで元気モリモリ」のような万能なものは存在しません。

 

 

「何かしらの行動を起こさないと、望む結果は得られない」

 

 

という原理原則を忘れないようにしましょう。

 

 

それでも改善しないときに、わたしたち「治療家」をご利用して頂けたらと思います。

 

みなさまのご健康を願っております。

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