ワクチンについて③(粘膜ワクチン)

こんにちは。

西新の歯医者 松尾です。

 

 

粘膜ワクチン

 

今日は

呼吸器感染症(風邪・インフルエンザ・コロナなど)に現行のワクチンがなぜ効きにくいか?を学術的に掘り下げてお話したいと思います。

 

 

現行のワクチン接種をしたところで

侵入門戸(しんにゅうもんこ=ウイルスが感染する場所)に抗体が作られるわけではないのです。

 

 

では

どのタイプのワクチンならば有効でしょうか?

 

弱毒化or不活化させたウイルス少量を綿棒につけ、鼻の粘膜に塗ったり、目薬をさすようにノドの粘膜に垂らしたりする「粘膜ワクチン」ならば、呼吸器感染症ウイルスの感染防御に有効であろうと考えられます。

 

 

粘膜ワクチンと似た治療法に

「舌下免疫療法」をご存じの方もいるかもしれません。

 

アレルゲン免疫療法で、アレルギーの原因物質(アレルゲン=花粉など)を舌の下に少しずつ垂らし、体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法です。

 

 

*関連ブログ

 

ワクチンについて①

 

ワクチンについて②

 

 

粘膜免疫と全身免疫の

2大免疫システム

 

 

①粘膜免疫

 

生体を1本のチューブと例えるとします。

内側の壁を「粘膜」と言います。

体内にあるけれども、実際は外界と接触するために「内なる外」と呼ばれる器官です。

 

病原体を体内に侵入させないように体を守る「粘膜」は

 

【血管の外】の免疫システムです。

消化管を例にします。

↓粘膜上皮が「粘膜」になります。

血管(赤と青)はチューブの壁にめり込んでいるようなイメージです。

粘膜表面とは

口~肛門までの内側の壁

 

入り口:口や鼻

 

出口:肛門

 

 

 

 

鼻・のど~気管~肺の内側の壁まで

 

 

 

この内側の壁全体を「粘膜」と言います。

 

つまり口の中、鼻の穴、のど、乳腺、消化管、尿道、肛門などの壁はすべて粘膜となっています。

 

粘膜表面は、皮ふの代わりになっており、病原体が侵入しにくい構造になっています。

 

常に粘液(=感染防御の主体である抗体分泌型IgA】)を分泌しているので、分泌量が正常ならば鉄壁の守りで敵を防いでくれてます。

 

 

加えて

呼吸や食事で、絶え間なく外界の微生物やアレルゲンそして食物が入ってきます。

 

いつどこから、どんな敵が侵入してくるかわからないので

粘膜免疫は「常に臨戦態勢」を整えた免疫システムになっています。

 

 

 

 

②全身免疫

 

 

病原体が体内に侵入してしまったときに、それらを排除するように働く「全身免疫」は、

【血管の中(血液中)】の免疫システムです。

 

例:手をケガしたときに、傷口から血管へ直接ばい菌が侵入してきたときに、感染防御する機能です。

 

病原体が侵入してきて、初めてその防御機構が働くので粘膜免疫に比較すると、対応が遅くなります。

 

 

全身免疫その1「Aという敵が来たぞー」

 

全身免疫その2「Aに対する抗体を作れー」

 

 

数時間~1週間してAに対する抗体完成

 

 

 

①粘膜免疫スイッチON→②全身免疫作動

 

 

この①→②の順番で、病原体に接触することが重要です。

 

今回のテーマ「粘膜ワクチン」を粘膜に塗ると、その次にやっと全身免疫が作動します。

 

 

そしてここが重要なのですが

 

先に②全身免疫がスイッチONしても、

①粘膜免疫が作動しにくいということが分かっています。

 

つまり

血液に直接打つ筋肉注射ワクチン

血液中に直接ウイルスを入れる)では

 

先に②全身免疫が刺激を受けますが、

①粘膜免疫において、感染防御の主体である分泌型IgAが誘導されるわけではないので、現行のインフルエンザやコロナワクチンで感染予防に効果があるとは考えにくいのです。

 

 

参考文献

黒野祐一氏の論文から引用

 

インフルエンザ菌外膜抗原をマウスに

 

・経鼻

 

・経口

 

・経気管、そして腹腔内投与し

 

鼻粘膜、腸管粘膜、および肺組織中の抗原特異的免疫グロブリン産生細胞数を測定した。

その結果

・鼻粘膜中の抗原特異的IgA産生細胞数は経鼻免疫で著しく増加し

 

・腸管粘膜固有層のそれは経口免疫で

 

・肺組織では経気管免疫によって最も高値

 

であった。

 

すなわち、粘膜免疫応答には区域性があり、

上気道に粘膜免疫応答を誘導して

感染症を予防するには

 

経鼻免疫が最も有効なことが示された。

 

引用終了

 

 

 

ウイルスは標的細胞が決まっている

 

さらに重要なことに

ウイルスは決まった細胞にしか感染しません。

 

例えば、風邪、インフルエンザ、コロナのような呼吸器感染症ウイルスは

 

「鼻やのど、気管、肺の細胞」にしか感染できません。

 

風邪ウイルスを皮ふや胃や肝臓にくっつけたとしても、感染できずにそのまま死滅してしまいます。

 

感染が成立した場合

「鼻やのど、気管、肺の細胞」が炎症を起こして、酸素の取り入れが困難になります。

 

ヒトは3分間息ができないと死に至ります。

 

 

 

微生物の中でもウイルスは厄介

 

その理由に

ウイルスは、細胞内に入り込んで寄生するというのがあります。

 

ウイルスに寄生された細胞は、

 

・自力でウイルスを追い出すか

 

・白血球などから殺されるか

 

・自殺するか

 

の選択を迫られます。

 

最終的に

細胞がどの選択をするにしろ、ある程度時間がかかります。

 

少なくとも3分よりは長くかかるわけです。

 

なので

呼吸できずに重症化し、あっという間に亡くなってしまうのです。

 

 

加えて

変異をどんどん繰り返していくRNAウイルスに「現行ワクチンが効く」という説は、かなり怪しいです。

 

 

お師匠の投稿から引用

 

2年前のインフルワクチンを今打つのと同じこと

開業した13年前は、毎年当院でもインフルエンザワクチンを打っていた。

しかし、打っても罹患(りかん)する人は罹患するし、打たなくても罹患しない方も大多数。

全く効果がないので阿呆らしくなり、4年ほどで打つのを止めてしまった。

毎年インフルエンザウイルス株の変異を予測してワクチンが製造されるが、予測が当たったためしがない。

人間がRNAウイルスの変異を事前に予測することは不可能。

つまり、変異しやすいRNAウイルスに効果があるワクチンを作ることは不可能。

今の○○ワクチンも約2年前の武漢のRNA情報を用いて製造されている。

2年前のインフルエンザワクチンを、今打つことと同じことになる。

こんなのを喜んで打ちたい人が多数いるのが不思議。

原理原則的に効くはずがない。

「○○恐怖症」という精神症状には著効するだろう。

ワクチンと言うより、精神安定剤。

 

引用終了

 

 

重症化予防するとは考えにくい

 

重症化とは

気管や肺の細胞にウイルスが感染→肺炎などを起こす→呼吸困難

 

となることですが、血中にあるワクチン成分が、どのようなメカニズムで気管や肺の細胞の炎症をしずめるのか、その辺りが非常に疑問です。

 

人工呼吸器など

酸素吸入のための準備をしておく方が、よっぽど重症化に有効だと考えられます。

 

 

「京大 おどろきのウイルス学講義 -

宮沢孝幸 著」

から引用

 

必ずしもウイルスが血中に入っていくわけではなく、肺の細胞で横に広がって感染して、肺炎を起こしたりします。

 

血中に抗体を作って、待機していても、感染防御にはあまり効果がないかもしれません。

 

引用終了

 

 

「標的細胞」が呼吸器の細胞であるのに

ウイルスがわざわざ血中に移動するでしょうか?

 

 

粘膜免疫のまとめ

 

 

感染防御の基本は①粘膜免疫です。

 

①粘膜免疫刺激→②全身免疫作動

 

この原理原則を念頭に置きましょう。

 

 

つまり

日ごろから適度に雑菌などに触れておくことは非常に重要ということです。

 

 

昔の人は食中毒に強かった気がしませんか?

 

家族で同じものを食べたのに、おばあちゃんやおじいちゃんだけピンピンしてたりなど。

 

その理由に

食糧難の時代を経験された方々は、必死に食べ物を探し、ある程度傷んだものでも、生きるために食べていたからだと考えられます。

 

常に

 

①粘膜免疫刺激→②全身免疫作動

 

状態だったと推察できます。

 

 

最近では、抗菌ブームがかえって病気の感染率を上げているようにも思えます。

 

昔の子供は、外でどろんこになって遊んでいたものですが、

現代の子供は屋内・屋外問わず遊ぶ時、親の監視が厳しく、適度に汚れに触れる機会が減っている印象です。

 

危険物は避ける必要がありますが、目くじらを立てて叱るほどでもないかと思います。

 

 

従って

粘膜ワクチンも同じメカニズムにより、適量を粘膜に塗ったり、噴射することで

感染・発症予防ができると考えられます。

 

 

RNAウイルスは、前提として変異しやすいので

予め多種類の型の粘膜ワクチンを準備し、頻繁に鼻やのどに塗るだけでも、注射ワクチンよりは予防効果に期待ができます。

 

 

筋肉注射のように痛みも伴いませんし、コストもかからず、運搬も容易で、副作用も少なく、より確実に抗体が作られる可能性が高いのです。

 

 

今後

より早い粘膜ワクチンの普及を願っております。

一覧へ戻る