健康寿命の重要性⑤(最終話)

こんにちは。

 

 

 

 

早良区西新の歯医者 松尾です。

 

 

*前回のブログ

 

 

健康長寿の重要性④

 

のつづきです。

 

 

 

褥瘡(じょくそう=床ずれ)と栄養

 

「体位変換しないと床ずれになる」と一般的に言われています。

 

しかし

実際は床ずれ対策は「栄養」です。

 

・表皮はケラチン

 

・真皮はコラーゲン、粘質多糖体

 

・皮下組織はタンパク質、リノール酸、

コレステロール

 

で出来ており、これらの栄養がないと床ずれは治りません。

 

 

上記には多糖類や脂質も含まれていますが、身体を構成する原材料の多くは

「タンパク質」です。

 

 

以下「タンパク質の重要性」から引用

 

皮ふ、血管、筋肉、心臓、髪の毛、抗体の主成分、消化液などを作り、

骨のサポートなど大活躍な素材です。

 

ほぼ全身に必要ですね。

 

建物でいえば、木材、コンクリート、鉄筋など家の基礎や骨格となる部分なのです。

 

ビタミンオーガニックなどの

健康食品は、優秀な大工に相当します。

 

 

いくら大工が優秀であっても、材料がなければ家は建てられません。

 

 

引用終了

 

*関連ブログ

 

タンパク質の重要性

 

 

褥瘡(じょくそう)を治すには

 

 

褥瘡がある入居者の安静時エネルギー消費量は、しばしば進んでいます。

 

上記のタンパク質以外に、褥瘡治療過程にかかわる栄養素は

 

・亜鉛

 

・ビタミンA

 

・ビタミンC

 

・ビタミンE

 

・アルギニン

 

なども欠乏状態にならないように注意アドバイスすることが重要です。

 

 

体格指数BMIと標準体重について

 

 

BMI(Body mass index)は身長の二乗に対する体重の比で体格を表す指数です。

 

BMI=体重kg/(身長)²

 

(正常18.5~25 やせ18.5未満 肥満25以上)

 

このBMIが男女とも係数22の時に、高血圧、高脂血症、肝障害、耐糖能障害などの有病率が最も低くなることが報告されています。

 

そこで

BMI=22となる体重を理想としたのが標準体重になります。

 

標準体重=22×(身長m)²

 

 

血清アルブミンとは

 

 

1)

肝臓で合成される血液中のタンパク質の一種です。

 

正常値は3.5g/dl以上

 

2)

血漿(けっしょう=血液から血球成分を取り除いた残り)に含まれるタンパク質の約6割を占めています。

 

3)

栄養・代謝物質の運搬、細胞の浸透圧の維持、酵素的作用などの働きを持ちます。

 

4)

血清アルブミン値は、栄養管理状態を評価するうえで、「低栄養」に陥ってないかを調べる指標になります。

 

 

アルブミンの指標(基準値3.8~5.3g/dl)

 

3.0~3.5g/dl 軽度栄養障害

2.5~3.0g/dl 中等度栄養障害

2.5g/dl未満   高度栄養障害

 

血清アルブミンが低栄養の指標として使われることが多いですが、「他の要因」によっても変動しますので注意が必要です。

 

多くのホルモン、薬剤や分子化合物は血中でアルブミンと結合しています。

 

血清中のアルブミン濃度が異常に低くなった状態=低アルブミン血症では、

 

抗体の産生低下、抗菌薬(化膿止め)の効果低下、結果的に「感染症」が治りにくくなります。

 

 

 

低アルブミン血症=低栄養状態ではない

 

一般的に

 

「血中アルブミン値が低い=低栄養」

 

「血中アルブミン値が高い=栄養状態○」

 

と捉えられていますが、必ずしもそうではありません。

 

体重・BMIともに良好なのに、アルブミン値が低値な症例もあれば、

アルブミン値が正常であっても、明らかに低栄養状態の症例もあるので注意が必要です。

 

 

不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)を起こしやすい疾患

 

 

不顕性誤嚥とは、病気が原因の神経麻痺や加齢に伴う筋力の衰えにより気管の感覚が鈍くなることで、嚥下が適切にできず誤嚥をしても、むせ(咳をすることで食べ物が気管・肺へ入るのを防ぐこと)が生じずに本人や周囲の人が気づかずに誤嚥をしてしまうことをいいます。

 

主に*ドーパミン減少の疾患で不顕性誤嚥は起こりやすくなります。

 

*脳内のドーパミンというホルモンが減少することで、さまざまな運動障害や、自律神経症状、精神症状などが出てくる神経変性疾患です

 

・パーキンソン病

 

・線条体黒質変性症

(せんじょうたいこくしつへんせいしょう。

多系統萎縮症のひとつ。筋肉が硬くなり(筋強剛)、運動障害、協調運動障害、体内プロセス(血圧や膀胱の制御など)の機能不全などが起こります。)

 

・脳卒中で大脳基底核での血栓

(ラクナ梗塞など)

 

・レビー小体型認知症

(早期から誤嚥が起きやすい)

 

・血管性認知症

(大脳基底核が損傷した場合)

 

 

※アルツハイマー型、前頭側頭型認知症の初期~中期ではほとんど起こりません。

 

 

多種の薬服用と薬の副作用

 

 

高齢になると、複数の持病を持つ人が増えていくことが多くあります。

 

処方される薬が6つ以上になると、副作用を起こす人が増えることがわかっています。

 

たとえば

 

・うつ

・物忘れ

・食欲低下

・排尿障害

・せん妄

・ふらつきや転倒

・便秘

 

などです。

 

他にも

コレステロール低下薬を服用されている方に見られる症状で

 

「五十肩」や

「顎関節症(がくかんせつしょう)」があります。

 

特に医療従事者は注視する必要があります。

 

顎関節症(がくかんせつしょう)

口を大きく開ける時に痛い、音がする、口が開かない、などの症状

 

 

まとめ

 

 

病気やケガをしても、身体は常に元に戻ろうとします。

 

身体はホメオスタシス(恒常性=こうじょうせい。常に一定に保つ、自動で身体を調節してくれる機能 )という素晴らしい調整能力や修復能力を持っています。

 

しかし

そのホメオスタシスを妨げる要因が多すぎる場合

病気の引き金になったり、回復・治癒が遅れたりします。

 

 

ホメオスタシスを妨げる原因はいくつかあります。

 

・*異物の量が多い

・筋肉量の低下→体温低下→血流不足→回復が遅い

・栄養の摂り過ぎ

栄養不足

・長期の薬服用

・ストレス

 

など。

 

*関連ブログ(異物)

 

異物が引き起こすもの①

 

異物が引き起こすもの②

 

異物が引き起こすもの③

 

異物が引き起こすもの④

 

 

 

栄養不足では調整や修復するための原材料不足しているため、特にタンパク質を積極的に摂っていただきたいのです。

 

タンパク質不足状態で、薬やリハビリだけでは治りようがありません。

 

 

病気に限らず何事も「予防」が重要です。

 

物事は放っておくと「雪だるま式」に膨れ上がります。

 

そして

一度膨れ上がった状態から、元の状態へ戻すのには、大変な労力を要します。

 

雪だるまが巨大化する前であれば、少しの労力で比較的簡単に元に戻すことができるのです。

 

 

・転ばぬ先の杖

 

・備えあれば憂(うれ)いなし

 

ですね。

 

意味:

いざという時でも安心なように、用心して手を打っておくこと。

 

また、そのために準備しておくもの。

 

事前に準備しておけば、何も心配がないこと。

 

 

だから「予防」が大切になります。

 

 

予防=準備とも捉えることができます。

 

ビジネスに置いては

 

「準備が8割 本番2割」

(成功するかどうかは、80%の準備で決まる)

 

と言われています。

 

普段の生活(80%)を丁寧に生きる心がけをしていれば

残りの生活(20%)で多少無茶をしても、どうにか立て直せるものです。

 

例えば

1週間のうち6日間は良質な食事、運動、睡眠を心がけているとします。

 

残りの1日をハチャメチャに過ごしたとしても、ある程度早く回復できます。

 

 

これが逆転したらどうでしょう。

 

1週間のうち6日間も無茶な生活を送って、1日だけ健康的に過ごしたところで、6日分のダメージを果たして回復・修復できるでしょうか?

 

・時すでに遅し

 

・後の祭り

 

とならないように日ごろから準備をしましょう。

 

意味:

もう修正が効く段階にない。今となっては打つ手がない。手遅れ。

 

時機を逸して、どうにもならないこと。

悔やんでも取り返しがつかないこと。

 

 

これにて

 

「健康寿命の重要性」は終わりになります。

 

ご愛読ありがとうございました。

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