2023.11.17
こころの健康とケア②統合失調症~不安障害
こんにちは。
早良区 西新の歯医者 松尾です。
こころの健康とケア②になります。
精神症状と関わりの工夫
【統合失調症】
■思考と自我がまとまらなくなる病気。
自分の考えが他人に知られてしまう、考えや行動が他人から影響されるといった、思考や自我の障害が主症状の病気です。
・陽性症状
いないはずの人の声が聞こえるなど、もともとはなかった症状が現れること。
・陰性症状
感情をうまく出せず他人との関係を避けて閉じこもったり、もともとあった機能がそこなわれた状態。
■関わり方
約120人に1人の割合で起こる病気です。根本的な原因は不明ですが、原因の一つは脳のなかの*ドパミンが増えすぎてしまうことです。
*ドパミン
神経伝達物質の一つで、快く感じる原因となる脳内報酬系の活性化において中心的な役割を果たしているもの。
治療には抗精神薬や*認知行動療法を行います。
*認知行動療法
ストレスなどで固まって狭くなってしまった考えや行動を、ご自身の力で柔らかくときほぐし、自由に考えたり行動したりするのをお手伝いする心理療法です。
他にも
ストレスとうまく付き合うことが重要です。
適切な治療によって1/3~1/4の人はほぼ治ります。完全には治らなくても症状とうまく付き合いながら普通の生活をすることもできます。
再発を繰り返す場合は、長期的な服薬など病気の管理が必要となることもあります。
【うつ病】
■こころのエネルギーが減る病気
自分の存在価値が小さくなったように感じる病気です。
気分の落ち込み、考えが進まず、意欲もなくなり、自分を責めて過去を後悔し、将来に希望が持てなくなります。
不眠やドキドキして身体がほてるなどの自律神経症状、肩こりや頭痛といった症状もあり、はじめは内科や整形外科、婦人科を受診する人が多いのも特徴です。
■関わり方
うつ病はよくある病気で
男性の10人に1人、女性の5人に1人の割合で一生のうち一度は経験すると言われています。
誰でも落ち込んだり、やる気がでないことはありますが、うつ病では原因が解決しても症状が続きます。
責任感が強すぎる人は十分に回復していないのに、無理をして病気を長引かせることがあります。
本人も周りの人も病気の正しい知識をもって、仕事や家事の負担を減らし、ゆっくり気兼ねなく休みながら、少しずつ元の生活に戻るようにします。
治療では、セロトニンやノルアドレナリンを増やす作用のある抗うつ薬が使用されます。
【双極性障害
(双極症・躁うつ病)】
■躁(そう)状態とうつ状態を繰り返す
心のエネルギーが多すぎる躁状態と、減りすぎるうつ状態を繰り返す病気です。
双極性障害Ⅰ型 ⇒ はっきりした躁状態とうつ状態を繰り返す
双極性障害Ⅱ型 ⇒ 躁状態があまりはっきりせず、うつ状態だけが目立ちやすい
症状の強さと経過で分類されます。
■生活への支障と再発予防
躁状態では何でもできる気になり、あまり眠らなくても疲れません。気分はとても良いのですが、抑制がきかずに他人に失礼な態度をとったり、思い通りにならないとイライラして人を責めるなど、人づきあいの問題が出やすくなります。
うつ状態では、活力がなくなり、うつ病と同じく自分の価値を認められなくなります。躁状態のときに自分がやったことを思い出すと後悔しますが、今どうしたらいいか考えられず、意欲も低下して身体がだるくなり動けなくなります。
このような状態を避けるために、気分安定薬の服用や、ストレスにうまく対応するなどの再発予防が重要になります。
【不安障害(不安症)】
■強い不安や恐怖が続く病気
1年有病率は3%、生涯有病率は5%
男女比は1:2で女性に多く、発症年齢は成人期初期が多いです。
原因としてノルアドレナリン、セロトニン、GABA等の伝達物質の関与が研究されています。
全般性不安障害
⇒ いつも不安
社交不安障害
⇒ 対人関係が不安で人づき合いがうまくできない
限局性恐怖症
⇒ 動物や場所など特定の対象や状況にだけ不安や恐怖を感じる場合。虫恐怖症、高所恐怖症、閉所恐怖症、注射恐怖症、歯科治療恐怖など
■急に強い不安が出るパターン
パニック症(パニック障害)も不安障害の一つで、動悸や過呼吸といった自律神経の発作症状(パニック発作)が急に起こり、強い不安を感じる病気です。
同じ発作がまた起きたらどうしようという不安(予期不安)が強まるとますますパニック発作が起きやすくなり、人づきあいや外出を避けてしまいがちで、生活の範囲が狭まってしまいます。
広場恐怖症
強い不安に襲われたときに、すぐに逃げられないような場所にいることに対する恐怖や不安を抱く病気です。
発症すると、バスや飛行機に乗る、レジの行列に並ぶといった、すぐにそこから逃げられない、あるいは助けを求められないと感じる状況や場所を避けるようになります。
日常生活に支障をきたし、引きこもりの原因になることもあります。
ストレスを感じる仕組み
ストレスと聞くと悪いイメージがあるかもしれませんが、実は環境に適応するための
生体防御反応なのです。
カナダの生理学者セリエは、生物が外界から与えられる刺激をストレッサーと呼び、ストレッサーによって生じた歪みに対する反応をストレスと呼びました。
①生理的ストレッサー
⇒ 疲労、睡眠不足など
②物理的ストレッサー
⇒ 暑さ、寒さ、湿気など
③社会的ストレッサー
⇒ 人間関係、環境の変化など
これらのストレッサーにさらされると、
・副腎皮質ホルモンの分泌(抗ストレスホルモン)
・交感神経の興奮
・体温、血圧の上昇
・免疫系の抑制
などのストレス反応が起こり、その結果として食欲不振、不眠、イライラなどが生じることがあります。
ストレスとうまく付き合う
強いストレッサーにかかり続けると、上記のようなこころの病を発症することに繋がります。
対処法として
・原因となるストレッサーを取り除く
・ストレスと感じないように意識を変えてうまく付き合う(解釈を変える)
などが有効とされています。
人生は解釈の連続です。
苦しかったり、悲しかったり、辛い嫌な出来事がわが身に降りかかりってきても、それらの出来事を変えることはできません。
「どう解釈するか」のみ変えることができます。
そして解釈を変えさえすれば、次は行動へとつながっていきます。
言い換えると
解釈する=意味づけ、となります。
「物事に意味はない。あなたが意味づけするまでは」
ですね。
こころの健康とケア③へ続きます。