2024.01.31
こころの健康とケア③強迫性障害~パーソナリティ障害
こんにちは。
遅くなりましたが
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
早良区 西新の歯医者 松尾です。
こころの健康とケア③になります。
【強迫性障害】
■不安解消の工夫が不安を強める。
何かの状態が気になり不安が強まって、不安を解消するための行動が止まらなくなり、普通の生活がしにくくなっている病気です。
・強迫観念
理屈ではそうではないとわかっているのに、考えがやめられない。
手にばい菌がついていて病気になるのでは。
カギを閉め忘れたのでは。
ガスの元栓を閉めておらず、大火災になるのでは。
・脅迫行為
理不尽だとわかっていても行動をやめられない。
手洗いや入浴、掃除に何時間もかかる。
家族に行動を指示し強要する。
髪の毛を抜く、身体をひっかくなどの自傷。
■強迫性障害と同じメカニズムの病気
強迫性障害の原因はわかっていませんが、素因や生活歴、ストレス状況、神経伝達物質のセロトニンなどのさまざまな要因が互いに関係して発症すると考えられています。
・醜形(しゅうけい)恐怖症
自分の見た目が気になる。恥ずかしい。
・自己臭恐怖症
他の人から体臭がきついと思われているのではと気になる。
・ためこみ症
古新聞やガラクタなど価値のないものが捨てられない。(「ゴミ屋敷」の状態)
・身体集中反復行動症
自分で毛髪や眉毛を抜く(抜毛症)、皮ふをかきむしる(皮ふむしり症)
・心気症
検査では異常がないのに心身のささいな不調が気になる。
【ストレス障害】
■ストレスが仕事や生活に支障をきたす状態
・急性ストレス障害(ASD)
強い心理的ストレスとなる出来事を経験してすぐに、日常生活に支障のある不快な反応が出た状態で、通常1か月以内に治まります。
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)
ASD状態が1か月以上続く場合。
症状としては、つらい記憶が突然、鮮明に頭に浮かぶ(フラッシュバック)、悪夢、同じ場面や場所を避ける(回避)、いつも緊張して感覚が過敏になる(過覚醒)ほか、怒りや罪悪感など強い感情の変化や、楽しい感情が湧いてこないなどの情動麻痺が見られます。
PTSDは1回の出来事で発症しますが、虐待など長期間にわたり、心の傷を負う出来事が繰り返されたために発症した場合には、複雑性PTSDと診断されます。
■誰でも発症する可能性のある適応障害(適応反応症)
PTSDは大災害、殺人など誰か経験しても非常に強いストレスとなる出来事が原因となって発症しますが、適応障害は、誰にでも起こりうる出来事(離婚や失業など)をきっかけにして発症します。
誰でも新しい環境(就職や結婚)では多少の不安を感じ、嫌なことをや予想しなかったことがあれば、気分が落ち込んだりしますが、それでもそれらに適応して生活を続けていきます。
そうした環境や出来事に適応しきれず、抑うつ症状や不安があって、生活に支障が出るのが適応障害です。
【解離性障害(解離症)】
■心を守るための仕組み
解離は、大きなストレスを経験したときに、そのときの自分の意識や知覚を切り離して心を守る防御反応の一つです。
心配が強いときや物思いにふけっていて、声をかけても反応しないなども、解離の一種(正常解離)です。
解離性障害は、大きなストレスなどをきっかけに発症し、自分では処理しきれないほどの強い不安や葛藤があるときに、一時的に自我のつながりを切り離して、本来の問題から自分を遠ざけて心の安定を得ようとする状態です。
一言でいうと「現実逃避」ですね。
■解離性障害の代表的な症状
・解離性健忘
意識には問題がないのに、心理的な注意や関心の範囲が狭まって、自分のやったことや生活体験を思い出せない状態。
・全生活史健忘
自分の名前や生い立ちを全く思い出せない状態。
・解離性遁走(とんそう)
仕事や家族を残して姿を消し、そのこと自体の記憶がなくなる状態。
・解離性同一性障害
自分の中に別の人格を生み出して、いつもとは違う考え方や行動をして、 そのことを覚えていない状態。
・離人症
自分自身に対する現実感を失う状態。
・憑依トランス症
動物やアニメのキャラクターなどが乗り移ったようにふるまう状態。
・解離性昏迷
解離症状が極端に強いと、意識はあるのに周囲の刺激に全く反応できない状態。
【パーソナリティ障害】
■人格や人間性を病気や障害として分類
パーソナリティ障害とは、人格や行動の障害です。
ある出来事に対して、ほとんどの人はとらないような反応をしてしまい、社会生活に不利益な行動のパターンが続いて、本人が苦しんだり、周囲の人が対応に困っているときに診断されます。
もともとは病気とは別の特徴だと考えられていました。しかし、ICDやDSMなどの操作的診断基準では、病気や障害と同じように分類されはじめ、現在ではそれが主流になってきました。
ICDによる分類
・妄想性
・統合失調症質性
・非社会性
・情緒不安定性
・演技性
・強迫性
・回避性
・依存性
■目立つ行動に巻き込まれるパターンを変える
性格は個人差が大きく、個性的な人は多くいますので、だいぶ偏った性格なのか、病気なのか判断に迷うケースはあります。
しかし
特徴的な行動パターンが明らかで、周囲が疲弊したり、本人が困っている場合には、パーソナリティ障害と診断されます。
その一つが
境界性(ボーダーライン)パーソナリティ障害で、感情が不安定で見捨てられることへの不安が強く、周囲の人が自分に関心を向けるように行動します。
「自殺する」というような言動や自傷行為が目立ち、周囲の人は驚いて巻き込まれてしまいます。
パーソナリティ障害の対応の基本は心理社会的介入で、かかわりの工夫や環境調整が必要です。
パーソナリティ障害そのものを治療する薬はありませんが、気分安定薬や抗精神病薬などが精神症状の緩和のために使われることがあります。
メタ認知の重要性
*参考文献 新版心理学 無藤隆、森敏昭、遠藤由美、玉瀬耕治 著
メタ認知とは「認知についての認知」のことです。
言い換えると
「自己分析する」
「客観的に自分を知る」ことです。
さらに平たく言うと「自分を知る」ことです。
※客観的⇒誰が見ても、もっともだと納得できる考え方をする様子。
自分のことについて
周り「も」自分「でも」同じ意見を持てるようにすることです。
例)自分は身長が190cmあるので、背が高いと思っているけど、客観的にはどうなんだろうか?と思い、周りにも訊いてみたら「背が高い(自分と同意見)」と言われた。
それをわたしたちの「こころ」に置いてもやってみましょう、ということです。
こころは目に見えないため、難しいところも多々あると思いますが、かと言って何もしないと、病を治すことには繋がりません。
自分のことを知らずに
「自分の病と向き合う」ことは、かなり困難です。
たとえば知っておくべきことは、自分が
・どんな性格なのか
・なぜ苦しんでいるのか
・どのような出来事で傷ついたのか
・ストレスがかかったときに、こんな風になったけど、どんな種類のストレスか
・なぜ怒っているのか
・いまだに許していないのか
などが、知っておくべき基本的な情報になります。
今回の病名や症状に限らず、いつほかの病気になったり、症状が出るかは誰もにわかりません。
しかし
どんな病にかかろうとも、自分を知ってさえいれば、その都度、適切な対応や対処ができるはずです。
病気が発覚したときに、自分を責めたり、周りのせいにしないことです。
諦めなければ、それはただの「通過点」に過ぎない、ということを忘れずにいて頂きたいのです。
みなさまのご健康を願っております。
こころの健康とケア④へつづきます。
*関連ブログ(原因療法@心理学)