こころの健康とケア④発達障害~摂食障害

早良区 西新の歯医者 松尾です。

 

 

 

 

 

 

 

こころの健康とケア④になります。

 

 

 

 

【発達障害】

 

 

■人間の発達と障害

 

成長とともに発達していくはずの知能や精神活動、運動機能などが生まれつきの理由によって遅れたり、妨げられたりしている障害です。

 

発達障害では、一部分がほかと比べてうまく伸びていないなどの偏りが特徴です。

 

 

■発達障害と分類

 

①自閉スペクトラム症(ASD=Autism Spectrum Disorder)

 

行動や対人関係に独特の特徴があります。

 

・言葉の発達の遅れ

・コミュニケーションの障害

・対人関係・社会性の障害

・パターン化した行動、こだわり

 

ASDの一つ

アスペルガー症候群

 

・基本的に言葉の発達の遅れはない

・コミュニケーションの障害

・対人関係・社会性の障害

・パターン化した行動、興味・関心の偏り

・身体運動への不調和

 

 

②注意欠如・多動性障害(ADHD=Attention-deficit Hyperactivty Disorder)

 

・不注意(集中できない)

・多弁・多動(じっとしていられない)
・衝動的に行動する(目先の刺激にすぐ反応)

 

 

③限局性学習障害(SLD=Specific Learning Disability)

 

全体的な知的発達に比べて「読む」「書く」「計算する」などの能力の一部が極端に苦手です。

 

知的な発達の遅れはないため、努力不足や不真面目だと評価されがちで、障害であることに本人も周囲も気づかずに成長してしまい、生きづらさを抱えて生活しているケースもあります。

 

 

【依存症(アディクション)】

 

■悪い習慣がやめられない

 

依存症とは、飲酒や喫煙、薬物の摂取などのために、自分の身体や、仕事・金銭管理などを含めた日常生活、家族など身近な人との人間関係に大きな支障が出ているのに、

その習慣をやめることのできない病気です。

 

 

依存は、もともとはリラックスできたり、満足を得られるという意味ではよいことだったのかもしれません。

 

しかし、何度も繰り返すうちに、脳の喜びを感じる部分の働きが損なわれて、衝動が抑えられずに行動すること自体が目的となってしまいます。

 

お金や時間など、

自分の生活の多くをその行動に捧げてしまう状態をいいます。

 

 

■依存の種類

 

いろいろな依存の種類がありますが、最近では、家族関係や学業、社会生活に大きな問題が出ていてもSNS利用をやめられないネット依存ゲーム依存が増加し、特に若い世代での社会問題になっています。

 

 

 

 

 

【睡眠障害】

 

■眠れないことで生活の質が障害される状態

 

人間には日中起きて夜は眠くなるという、およそ24時間の自然のリズムがあります。

 

頻繁に夜に眠れなくなり、次第に昼間の仕事や家事、学業などの社会生活が障害され、生活の質が著しく低下する状態が不眠症です。

 

不眠の分類

 

 

①寝つきが悪い(入眠障害)

 

②途中で目が覚める(中途覚醒)

 

③朝早く目が覚める(早期覚醒)

 

④ぐっすり寝が気がしない(熟眠障害)

 

 

■さまざまな睡眠障害

 

特別な症状の睡眠障害もあります。

 

病気だと気づかれないと、日中の眠気は怠惰な生活をして寝不足だからなどと、本人の責任にされてしまいがちですが、交通事故の原因が睡眠障害であった例などもあり、病気の正しい理解が必要です。

 

 

これらの原因はさまざまですが、5人に1人が何らかの睡眠障害を抱えていると言われています。

 

 

【摂食障害】

 

■食べる行動がコントロールできない病気

 

食べないことや食べ過ぎてしまうなど、食べる行動が自分でコントロールできず、食べる行動そのものが生活の目的となってしまい、極度な痩せすぎなどで身体の健康を損なったり、社会生活に大きな問題が続いたりしても行動をやめられない病気です。

 

摂食障害では体重が増えないように自分で嘔吐したり下剤を乱用するといった、健康を損なう行動が見られます。

 

思春期から青年期の女性に多いですが、中高年気や男性が発症することもあります。

 

 

■摂食障害の分類

 

食べる量が減ってしまうのが神経性やせ症(神経性無食欲症)です。

 

食事を強く拒否する人だけなく、食欲があっても食べられない、食べたいと思うのに少し食べただけで食べられなくなるという人もいます。やせ願望や肥満恐怖が背景にある場合があります。

 

食べる行動がコントロールできず、むちゃ食いをやめられないのが過食性障害、むちゃ食いのあとに嘔吐などをの体重増加を防ぐ代償行為を繰り返すのが神経性過食症(神経性大食症)です。

 

 

 

 

社会の不寛容(ふかんよう)

 

今の社会は

病気や障害の方に対し

 

 

「努力不足や不真面目だと評価しがち」

 

「本人の責任にされてしまいがち」

 

 

な社会だと感じます。

 

その根っこにあるのは「社会の不寛容」だと思います。

 

*不寛容

「心が狭く、他者の言動・意見を受け入れないこと。他者の過ちや欠点を厳しくとがめることやその様子」とされます。

 

 

 

↑有名なイラストなので、知ってる方もいるかもしれませんが

平等と公平の違いがわかりますか?

 

 

平等

⇒個人の違いは視野に入れず、すべての人に同じものを与えること

 

公平

⇒個人の違いを視野に入れて、目的を達成するために適切なものをそれぞれ与えること

 

 

平等と公平のバランスが重要

 

 

たとえば自分の子ども3人対して、同じご飯を食べさせる。

 

これは前提として「平等」という考えに基づいていて、何の問題もありません。

 

ですが

子どものうち1人が小麦アレルギーだとします。

 

3人ともに同じパンを食べさせた場合、小麦アレルギーの子は何か問題が生じる可能性があります。

 

そこで考えるべきは「公平」であり、アレルギー持ちの子へは代わりとして、白ご飯をあげる、などの対応が必要となります。

 

 

白ご飯をあげることは「特別扱い」ではなく「公平」であることを意識すべきです。

 

 

他にも

オーストラリアでの出来事を思い出します。

 

あるフードコートへ行ったとき、2歳くらいの子連れの両親が食事をしていました。

 

3人ともハンバーガーのセットを食べていたのですが、

あんな小さな子にもVentyもビックリするほどの特大サイズの飲み物をドーンとあげていました。

 

 

「平等」を重んじる、個人主義らしいオージーでのワンシーンでしたが、友人と同光景を見ながら

 

 

「あんなデカイのいらんくない?笑」

 

 

と自然とそんな言葉が漏れていました。

 

 

多様性の時代こそ公平性を

 

本記事で紹介している障害への理解は当然ですが

 

十人十色、人それぞれなど、つまりは

 

「多様性が重要」だと思います。

 

小麦アレルギー話の3人程度の少人数なら、公平性の調整は比較的簡単かもしれませんが、これが学校、会社、病院など大規模な場での調整となると困難極まります。

 

公平性の完全な実現は極めて困難であるからこそ、そこに一歩でも近づくための努力を続けていく必要があるのではないでしょうか?

 

 

東洋医学では

 

「病気を見るな。患者を見ろ」

 

といいます。

 

同じ病気であっても、一人一人原因が違うことがよくあります。

 

一見同じ病気に見えても、原因が違えば結果は変わります。

 

 

病気に限らず

個人の違いを考慮し柔軟に

 

 

「公平」「その人を見る」

 

 

ことが重要だと思います。

 

何でもかんでも「平等」にすることは、社会がただただ「窮屈」になりかねないのではないでしょうか?

 

 

みなさまと一緒に

寛容で温かい社会を創っていけたらと切に願います。

 

 

こころの健康とケア⑤ へ続きます

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